12月-2013
展望室での夜景撮影テクニック(Delkin Fat Geckoを試す)
さて、今回は夜景撮影、それも高層ビルの上階やタワーの中に用意された「展望室」からの撮影について書いてみようと思います。
展望室から撮影においてポイントは3つ。「カメラの固定方法」、「ガラスの映り込み対策」、「ピントの合わせ方」です。
1.カメラの固定方法
まず、大前提としてカメラは三脚などを使ってしっかりと固定してください。最近のカメラは高感度特性が優れてきていますが、作品として残すクリアな夜景写真を撮影したいのであれば、多少面倒でも三脚を展開しましょう!
ここで注意、というか確認が必要なのが、撮影する展望室が三脚の使用が認められているかどうか、です。私が良くいく、横浜ランドマークタワー、浜松町貿易センタービル、スカイツリーなどは今のところOKのようです。
三脚を設置する際は、なるべく展望室のガラスに寄るように設置しましょう。後述しますが、これだけでもガラスの映り込み対策になります。
今回利用したのは、ガラスへ吸盤で吸着させる特殊なカメラ台座です。
この手のアイテムとしては価格やサイズは少し大げさですが、そのぶん、しっかりと固定できます。EOS 5D mark3 + EF24-70 F2.8 L II (合計約2kg)をこのように設置してもびくともしません。
もちろん、コンデジも設置可能。コンデジは本体が軽いので更に頑丈に固定できます。
この手のカメラ台座を使うメリットとしては、映り込み防止だけでなく、三脚ではちょっと実現できないアングルの自由さにあります。たとえば、こんな感じに、カメラ本体を下に向くように設置できます。
こうすることで、階下の街の夜景を「見下ろす」構図が実現できるというわけですね。
この台座を使って撮影した写真がこれら。
EOS 5D mark3 + EF24-70mm F2.8L II / 24mm, ISO160, f16, 25sec
EOS 5D mark3 + EF24-70mm F2.8L II / 27mm, ISO160, f16, 30sec
ちなみに、コンデジである SONY RX100 で撮影した写真がこれ↓
RX-100 / 28mm, ISO200, f11, 20sec
・・・意外とよく撮れますね(^^;)。ホワイトバランスもオート、絞り優先モードで適当に撮影、更にこれでJPEG撮って出し、要はカメラ任せで殆どオート撮影ですから驚きです。拡大して等倍でチェックするようなことをしなければ悪くないクオリティですねぇ。
というわけで、展望室の撮影にはこの吸盤式の台座がおススメなのですが、三脚同様、その場所で使用してよいかどうかを事前にチェックしましょう!(ランドマークはOK、なはず…)。
2.ガラスへの映り込みを抑える
展望室で撮影していると、避けられない悩みが室内の明かりがガラスに反射して写真に写り込む現象です。
この対策法としてPLフィルタ(偏光フィルタ)の使用が一般的ですが、今回はちょっと違った方 法を紹介しようと思います。
↑左上に映り込み
↑映り込みなし
↑左上に豪快に映り込み
↑PLフィルタを使って対策してみたが、まだ左上に映り込み
↑映り込みなし
・・・結構違いますよね?
じゃぁ、どうやって対策するのか…?
一番良いのは、撮影者自らカメラと一緒に黒い布で覆うこと、なんですが、そう都合よく大きな布なんて持ってませんよね?(^^;;
そんな時は、着ているジャケットなどを使いましょう。
こんな感じでカメラ部分をすっぽり覆いかぶせます。この時、ガラスにジャケットを完全にくっつけてください。大事なのはレンズとガラスの間の隙間をなくし、邪魔な光を入れない事です。ここを意識して被せてください。
また、カメラやレンズにジャケットが触れない様に気をつけることと、シャッターが完全に下りるまでしっかりと固定することにも気を付けてください。ジャケットがカメラやレンズに振れてしまうと撮像のブレに繋がります。
またこの状態ではシャッターボタンを直接押せないので、レリーズケーブルを使うか、セルフタイマーを使いましょう!Wifiを装備した最近のミラーレスカメラだとスマフォのアプリでシャッターを操作できたりするので、こういう機能を積極的に使うとよいと思います。
3.ピントの合わせ方
さて、展望室での夜景撮影、最後のポイントはピントの合わせ方、です。恐らくほとんどの人がカメラ任せのオートフォーカスで撮影していると思います。基本的にはこの方法で問題ないのですが、よりシャープな夜景を撮影したい場合は、マニュアルフォーカスでピント合わせを追い込んでいきましょう!
三脚や吸盤台に装着した状態だと光学ファインダーを覗く動作は難しかったりしますし、何よりピントの山がつかみにくいです。
そこで、ライブビュー機能を積極的に使っていきましょう!
ライブビュー機能、カメラによって若干違いがあると思いますが、大抵、拡大する機能があります。私のカメラ(EOS 5D mark3)には、ピントを合わせたい箇所を最大10倍まで拡大することができますので、この倍率でピントの調整を行います。
↑10倍で拡大しています。まだピントが合っていないのでボヤけててなんだかよく分かりません。
↑微調整をしてピントを合わせた状態。夜景撮影の場合は、点光源(丸い照明など)が、正しく丸くなる状態をピントの合っている状態の目安にしています。
この状態でライブビューモードを終了し、通常通りシャッターを切ります。できればレリーズケーブルなどでシャッターを押しましょう。カメラ本体に振れしまうと、せっかく合わせたピントがずれてしまうこともあります。
ちなみに、夜景撮影時のカメラの設定はどうするの?とよくきかれます。
撮影する夜景の条件やカメラによって変わってきますが、目安としてはこのあたりです。
ISO感度: ISO100~200
F値: f8~16
シャッター速度: 10~30sec
慣れないうちは、シャッター速度優先モードに切り替えて、いろいろ撮影してみるとよいでしょう!ISO感度設定がAutoになっていると勝手に高感度設定(ISO1000以上)になってしまうこともあるので、事前にISO100~200あたりに固定しておきましょう!
■夜景撮影のテクニック(展望室編)のまとめ
・三脚は必須!吸盤台座などを使うとより良い!
・ガラスの映り込みに注意!布やジャケット使って防御!
・ピント合わせはライブビュー&マニュアルフォーカスで!
・ISO感度設定は100~200で。Autoになってるかどうか事前にチェック!
・露光(シャッタースピード)は10秒以上で撮影!
是非、お試し下さい!